カテゴリから選ぶ
おせちは、縁起の良い食材がたくさんあります。
そのため喪中の場合は食べても良いのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、喪中はおせちを食べない方が良いとされています。
ここでは食べない方が良い理由、食べても良いものについて紹介しています。
喪中におせちは食べても良い?
おせち料理は、新しい年を祝う節句のための料理です。
一方で、喪中とは遺族や親族が故人を偲び、喪に服す期間とされています。
具体的に「喪に服す」とは派手な行動を控えて、悲しみを乗り越えて日常に戻るために慎ましく過ごすことを意味します。
喪中は慶事を避けるのが基本とされます。
そのため、年賀状のやり取りを避けるため事前に喪中はがきを出して喪中であることを周囲に知らせたり、正月飾りやお祝いの言葉を用いないようにしたりします。
喪中の場合はおせちを食べない方が良い
喪中には、祝いの料理である「おせち」を食べるのは控えるべきというのが一般的な考え方です。
おせちは、漢字で「御節」と書きます。もとは、神様に捧げる特別な料理「御節供(おせちく)」であり、江戸時代から徐々に庶民の間でも食べられるようになっていった料理です。
すなわち、おせちはお祝い事の象徴のようなものであり、慶事を避けるべき期間である喪中の方にはふさわしくない食べ物とされています。
では、そもそもなぜ喪中は慶事を避けるべきという考えがあるのでしょうか?
喪中におせちを食べない方が良い理由
「喪中は慶事を避けるべき=おせちを食べない方が良い」という考え方は、神道に基づいています。
神道では死を穢れとみなす考えがあり、近しい人が亡くなった場合はその穢れを周囲に移さないよう、慎ましく生活すべきであるという考えがあります。
ゆえに、慶事に参加しないのが喪中のしきたりとされています。
現在では、四十九日法要が終わった忌明けなら、おせちを食べて良いとする風潮もありますが、本来は悲しみを癒す期間であるため食べるのは避けた方が良いでしょう。
宗教・宗派によっては食べても良い
神道では、死は穢れとみなす考えがありますが、宗教・宗派によって死生観は異なるため、おせちを食べても問題ないとされる宗教・宗派もあります。
例えば、浄土真宗では故人は極楽浄土で仏となって生まれていくと考えられているので、喪中期間というものがそもそも存在しません。
また、キリスト教でも人の死は終わりとは考えていません。死は、神様が用意した素晴らしい天国へ旅立つことと考えられているため、喪中期間はありません。
この場合は、おせちを食べても問題はないでしょう。
喪中期間に食べられる「ふせち料理」
喪中期間に、遺族や故人と親しい方が食べる料理に「ふせち料理」があります。
ふせち料理とは、お祝いを連想させる食材を使わず、精進料理をベースに作った料理です。
また、よくおせちに登場する食材の中でも、勤勉や健康を意味する黒豆や、金運、商売繁盛を意味する栗きんとん、学問成就を願う伊達巻き、五穀豊穣を祈る田作り、出世を象徴するぶりなどは新年を祝う意味が込められた食材ではないので、食べても差し支えないとされています。
そもそも「喪中」とは
喪中は、神道の「死は穢れ」という考えに基づいて遺族が行動を慎む期間のことをいいます。
これは慎ましく過ごし、人との関わりを最小限にすることで穢れが他の人へ移らないように配慮したものです。
喪中の期間は決まっていますが、故人との関係性によっては通常の生活に戻れるまでにさらなる時間が必要なこともあります。
また、喪に服す範囲も一応定められてはいますが、これ以外の関係性であっても喪に服してはいけないという決まりはありません。
喪中の期間
喪中期間とは、故人が亡くなってから一周忌を迎えて、一周忌が終わるまでの期間を指します。
故人との関係性によって喪中期間は異なります。故人の配偶者や子ども、子どもの配偶者、父母、義父母は約12〜13ヶ月、兄弟姉妹、その配偶者、孫・祖父母といった二親等にあたる親族は3〜6ヶ月が一般的な喪中期間とされています。
この関係性以外の遺族、すなわち三親等以上の親族には、喪中期間に関しての一般的な決まりは特にありません。
喪中と忌中の違い
喪中は、故人が亡くなってから一周忌が終わるまでの期間を意味します。
忌中は、故人が亡くなってから四十九日の法要までの期間を指します。
神道では、喪中よりも忌中の方がより「穢れの強い期間」とされていました。
古来、忌中の期間は外出さえ慎むべきという考え方があったようです。時代が進んでからも、忌中の間、遺族は喪服を着ているべきだという風潮がありました。
現在では、忌中には結婚式などの慶事は行わないのがマナーとされています。
それでも喪中におせちを食べる際に避けたい縁起物の食材
喪中にはおせちを食べない方が良いと分かっていても、年に一度のお料理を少しでも味わいたいと考える方もいるでしょう。
そんな時は、新年を祝う縁起物の食材を避けて、それ以外のおせち料理を食べるようにしてください。
新年を祝うおせちの食材は、紅白のもの、鯛、昆布巻き、伊勢海老などです。なお、黒豆や栗きんとん、伊達巻き、田作りやぶりなどは、新年をお祝いする縁起物の食材ではないため、食べても問題ないとされています。
紅白の食材
紅白かまぼこや、紅白に染めた菊花かぶは避けるべきです。
赤色は魔除けの色であり、白色は神聖さをあらわす色とされ、この色のおせちの食材は、新年に関わるものとされています。
特にかまぼこは日の出の形に似ているため、おめでたい意味合いが強くなります。
鯛
鯛は、赤色をしていることから紅白の食材を避けるのと同様に、喪中にはふさわしくない食材とされています。
また、「めでたい」という語呂合わせからも新年を祝う意味が読み取れるため、喪中のおせちにはふさわしくありません。
昆布巻き
昆布巻きは、「よろこぶ」という語呂合わせで、新年の喜びをあらわす食材とされています。また、「よろこぶ」は養老昆布とも言い、親がいつまでも健康であるようにと願う意味もかけられています。これも、喪中にはふさわしくありません。
伊勢海老
海老は、腰が曲がっていてひげがあることから、長寿を祝う食材とされています。
また、おせち料理としては、海老のように年をとっても新年を健康で迎えられるようにという願いが込められた食材となるため、喪中にはふさわしくありません。
注意事項:飾り切り
食材だけでなく切り方、飾り方にも注意してください。
例えば、結びこんにゃくは「つながり」をあらわすため、避けるべきです。
また、長寿を意味する菊の形に切る菊花大根、松竹梅の「梅」をあらわす梅花にんじんといったおめでたい切り方も避けましょう。
喪中でも食べられる正月の料理は?
精進料理をもとにしたふせち料理以外にも、喪中に食べることができるお正月の料理はあります。
おせちは遠慮しつつもお祝い気分を少しは味わいたいという場合は、おせち料理以外の料理でお正月を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、お正月の料理ではありませんが、年末の年越しそばは喪中でも食べて問題ないとされています。年越しそばは、厄落としや長寿祈願の意味がありますが、新年を祝う意味はないため安心してください。
雑煮
雑煮は、もともとお祝いのための食事でしたが、現在ではその意味は薄れています。
そのため、喪中のお正月に食べても問題はありません。
しかし、雑煮の中身には紅白かまぼこなど新年を祝う食材は使わないようにしましょう。
カニ
お正月の高級食材の代名詞、カニはお正月や新年を祝うという意味が含まれていないため、問題なく食べることができます。
宗教によっては、四十九日までは「殺生をしない」と言う戒律を守って魚や肉を食べないこともあります。
すき焼き
すき焼きも、新年を祝う意味は含まれていないため、喪中のお正月であっても食べて差し支えありません。
野菜を切る時は、梅花にんじんなどお祝いを意味する飾り切りをしないように気をつけましょう。「つながり」を意味する結びこんにゃくも避けます。
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶは、鍋物の一つであり新年を祝う意味は含まれていません。喪中期間も問題なく食べられます。
しかし、四十九日がまだ過ぎていない場合は魚や肉を食べず、過ぎてから「精進落とし」として食べる宗教・宗派もあります。
うどん
うどんも年越しそばと同様、新年を祝う意味は含まれていないので、食べることができます。載せる具材にも特別な制限はありません。
具材を切る時は、梅花にんじんや菊花大根など、おめでたい形に飾り切りしないように配慮しましょう。
まとめ
喪中の期間はおせち料理を食べないのが一般的です。
これは神道の「死は穢れ」という考えに基づくもので、喪中の期間は慎ましく行動すべきという姿勢によるものです。
代わりに、精進料理をベースとした「ふせち料理」を食べましょう。
また、雑煮やカニ、すき焼き、しゃぶしゃぶなど、おせち以外に食べられる料理はたくさんあります。年越しそばも食べられます。
おせちの代わりにこれらの料理を食べて、新年を過ごすのも良いのではないでしょうか。
更新日:
2024年9月20日