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おせちの中身は20〜30種類もあり、祝い肴を筆頭に口取り、焼き物、煮物、酢の物の5つに分けて詰めます。
関東と、京都を中心とした関西とで味つけや入れる料理に違いはあるものの、おめでたい食材を使って新年を祝う気持ちは共通しています。
おせちの主な具材の種類
おせちに使われる具材はどれも縁起の良いものばかりです。
語呂合わせや由来を調べながら食べるのも楽しいのではないでしょうか。
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黒豆
豆は、薬膳料理において無病息災を祈願する食材として知られています。
また、「まめ」という読みと合わせて、まめまめしく元気に働けるように、一年間丈夫で、しっかり仕事ができるようにという意味が込められています。 -
紅白なます
紅白なますは、紅白の水引きに形が似ていることから見た目が華やかで、おめでたい具材といわれています。
なますの材料である大根は根菜で、「根菜のようにしっかり根を張って生活できるように」という願いも込められています。 -
かまぼこ
紅白かまぼこは、半円の形が初日の出を思わせます。
また、紅白を重ねることで華やかな見た目になりますが、紅色かまぼこは魔除け、白色かまぼこは清浄、とそれぞれに意味があり、一色だけ見ても縁起の良い具材といえます。 -
昆布
こんぶには、「養老昆布=よろこぶ」、「子生婦=こんぶ」、「子生夫=こんぶ」など、さまざまな表し方があります。 昆布巻きは、戦勝祈願、子孫繁栄を願い、おせち以外にも結納品や不老長寿を願う祝い膳にかかすことのできない具材です。
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えび
海老は、名前に「老」が入っていること、そして調理すると体が丸く曲がることから、「腰が曲がる老人になるまで長生きができるように」という願いが込められています。
有頭海老は、お頭つきとしてさらにおめでたい雰囲気が増します。 -
数の子
ニシンの卵である数の子は、二親(にしん)からたくさんの子が生まれるようにという子孫繁栄を願う縁起物です。 卵がたくさん並んでいるので、この見た目からも、「子宝に恵まれるように」と祈願する具材になりました。
あわせて、両親(二親)の長寿を願う具材でもあります。 -
栗きんとん
栗きんとんは、「金団子」や「金布団」と書くこともあります。この字から、金運が上がる豊かな一年になりますように、と祈願する具材になりました。
また、栗は「勝ち栗」など勝負運を高めるための食材としても知られ、幸先の良い食べ物とされています。 -
伊達巻き
伊達巻きは、派手であざやかな様子をあらわす「伊達」という名づけ通り、金色の華やかな見た目がおめでたく、縁起の良い料理です。
さらに、書物の巻物を模して、知識を蓄えられる一年になるよう願う意味も込められています。 -
タイ
海の幸である鯛は、「めでたい」にかけて、縁起の良い魚です。体の赤色も、縁起の良い色とされています。
お頭つきの鯛は頭から尻尾までそろっていることから、さらにおめでたさが増しますが、大きいので、お重の中ではなく別に盛られることもあります。 -
ごぼう
地に根を張るごぼうの力強さにあやかり、地に足をつけた暮らしができるように、そしてごぼうの根のように代々家系が続いていくようにとの願いが込められています。
たたきごぼうには、「たたいて開く」から転じて開運を願う意味もあります。 -
田作り
田作りという名前は、材料のカタクチイワシを田んぼの肥料にしたところ、豊作だったことに由来しています。
ここから、五穀豊穣を願う縁起物として、田作りがおせち料理のひとつになりました。
小さくてもお頭つきであることから、縁起が良い具材とみる説もあります。 -
こんにゃく
こんにゃくは、短冊状の中央部分に切れ込みを入れて、ねじっておせち料理に使います。
これは馬の手綱をイメージしたもので、自分自身を律して身を慎み生活できるように、との願いをあらわしています。
おせち料理の中身を重箱に入れる理由とは?
諸説ありますが、おせち料理を重箱に詰めるという風習は、江戸時代後期から始まったと言われています。
縁起の良いおせち料理を重箱に入れることで、「祝い事を積み重ねる」という意味が込められています。
本来、おせち料理の重箱は五段重が一般的で、上の段から順に「一の重」、「二の重」、「三の重」、「与の重」、「五の重」と数えます。四段目のお重を「与の重」と表すのは「四」が死を連想させる忌み言葉であり、それを避けているからです。
なお最近では、おせちを作るのに時間がかかること、核家族が増えたことから、三段重が主流になりつつあります。
おせち料理の重箱ごとの中身とは?
おせち料理は、三段重と五段重でそれぞれ入れるものと、入れるべき段が決まっています。
作る時は、この順番で詰めていきましょう。
三段重の中身
現代では一般的となった三段重の中身は、一の重に「祝い肴」と「口取り」を、ニの重に「酢の物」と「焼き物」を、三の重に「煮しめ」を入れます。
祝い肴と口取りは、お酒の肴になるものが多く、かまぼこや栗きんとんなども一の重に入ります。
酢の物は焼き物を食べる際に箸休めのような存在になるため、一緒のお重に入れるのが一般的です。
三の重に入れる煮しめは、先ほどご紹介したようにレンコンやたけのこ、にんじん、こんにゃくなど縁起の良い食材をたくさん使った筑前煮などが代表的です。
詰める時は、この順番で入れると彩りも良くなります。詰める時は、小鉢やカップなどを活用して味が混ざらないよう、そして見栄えが良くなるように並べるのがきれいに見せるコツです。
五段重の中身
現代では珍しくなった五段重は、一の重に「祝い肴」を入れます。
そして、ニの重に「口取り」と「酢の物」を入れ、三の重に「焼き物」を入れます。
与の重には「煮しめ」を入れますが、五の重は空にしておいたまま、何も入れません。
これは、五の重は「神様からの福を詰めるために空けておく」という考えがあるためです。
五段重というと、五つお重にすべて食べ物が詰まっているお重を想像してしまいがちですが、実際に食材が入っているのは与の重までとなります。
なお、一の重は不老長寿、子孫繁栄、家内安全、ニの重は学業成就、喜び、財産、三の重は出世、不老長寿、夫婦円満、与の重は無病息災、家運向上、末広がりなど、それぞれのお重自体にも意味が込められます。
おせち料理を重箱に詰める際のポイント
三段重の場合も五段重の場合も、一つのお重に詰める料理の数は、奇数(5、7、9)に決まっています。小鉢やカップなどを使って奇数の数になるよう料理を詰めていきましょう。
きれいに詰めるコツは、重箱の中に「十字」、「対角線」、「横三段」のいずれかを作ることです。このラインを意識することで、各料理が整然と並び、美味しそうに見えます。
さらに、それぞれの料理や具材の高さをそろえるように入れると、美しく見えます。
なお、おせち料理は数日間にわたって楽しむものなので、傷まないような工夫が大切です。加熱した料理は冷ましてから、汁の出るものは横の料理にうつらないように小鉢やホイルなどで区切るといったひと手間が必要です。
おせちの中身は地域によってやや異なる!
20〜30種類もあるおせち料理ですが、実は全国共通の中身は意外に少なく、地域によって違いがみられます。
味つけも、関東は濃口醤油と砂糖を使うのに対して、関西では薄口醤油と出汁を使います。
また、関東では栗きんとんや伊達巻きといった甘い口取りも定番ですが、関西では薄口醤油で味をつけた海老煮や、くわいの煮物などが定番です。
祝い肴も黒豆と数の子は共通ですが、三品目は関東では田作り、関西ではたたきごぼうと違いがあります。
地域別に特色のあるお正月の食べ物といえば、お雑煮も有名です。
例えば関東は醤油仕立て透明な澄んだ汁が一般的ですが、関西では京都を中心として白味噌ベースの白いお雑煮が一般的です。
関東のおせちの特徴
関東と関西では、おせちの味つけと、入っているものに若干違いがあります。
関東のおせちは、濃口醤油と砂糖で味つけをした料理が多いのが特徴です。
煮物は濃口醤油と砂糖でしっかりと色が染まっているのが一般的で、煮物といえば茶色っぽいというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
また、関西よりも甘い味つけの料理が好まれることが多く、栗きんとんや伊達巻きといった甘いおせち料理は、関東のおせちではポピュラーな存在です。
祝い肴は、黒豆、数の子、ごまめ(田作り)を用います。
焼き物は、関東では新巻鮭を用いるのが一般的です。
関西のおせちの特徴
関西のおせちは、関東の濃口醤油と砂糖の味つけとは異なり、薄口醤油と出汁で味をつけます。そのため関東の料理と比較すると、若干色が薄いと感じる人も多いかもしれません。
関東のおせち料理では定番の栗きんとんや伊達巻きは、関西のおせちとしてはメジャーな存在ではありません。代わりに、海老煮やくわい煮などが入っているのが一般的です。
祝い肴は、黒豆、数の子の二種は関東と共通していますが、関西の祝い肴はごまめの代わりにたたき牛蒡を用います。
焼き物は、たらを干した棒たらや、「睨み鯛」と呼ばれる塩焼きの鯛を入れるのが一般的です。
まとめ
おせち料理に使われている具材は、そのほとんどが縁起の良い食べ物であり、長寿や繁栄、金運上昇などを願ってお重に詰められています。
地域によって違いはあるものの、お正月に縁起の良いものを食べて、おめでたい新年を祝う気持ちは共通しているようです。
更新日:
2024年9月20日