カテゴリから選ぶ
お歳暮の熨斗は、贈る品物や相手の状況によって変える必要があります。
日頃の感謝が伝わるよう、正しいマナーを知って熨斗を書くようにしましょう。
シーン別の書き方や注意点、お歳暮に添えると真心が伝わる挨拶文の文例を紹介します。
お歳暮の熨斗(のし)の種類
また、室町時代にはお正月に先祖の霊を迎えるためのお祭り「御霊祭り」を行い、その際にお供えした数の子、鮭などを、祭りの後にご近所へふるまう行事があり、これがお歳暮の元になったのではないかという説もあります。
短冊熨斗(のし)の使用は?
短冊熨斗は、水引などを印刷した「熨斗紙」をさらに簡略化した熨斗です。
熨斗紙は贈り物をぐるりと一周くるむ紙ですが、短冊熨斗は通常の熨斗よりも小さく、贈り物の右上に貼るのが一般的です。
小さな熨斗は、資源を大切にするために実施している簡易包装の手段のひとつとして用いられることもあり、簡略化しているからといって失礼にあたるわけではありません。
しかし、贈る相手によってはふさわしくない場合もあるので、ケースバイケースで使用する必要があります。
お歳暮では熨斗(のし)をつけるのが基本
お歳暮は、熨斗紙(のしがみ)をつけて贈るのがマナーになっています。
熨斗紙は、「熨斗」と、ご祝儀袋などに結ばれる飾り紐「水引」をプリントした紙のことです。
厳密には、熨斗紙の右上についた飾りのことを「熨斗」と言いますが、現代では熨斗と水引が一緒に印刷された熨斗紙のことを「熨斗」と表現するのが一般的です。
近年では熨斗紙も進化を遂げ、SDGsの観点から簡易包装を心がけるお店も増えてきました。
簡易包装のスタイルで主流となっているのは、熨斗紙を短冊にして、品物全体を包まずバンド状に包装紙をかけるものです。
お歳暮は、一年をお礼と来年へのご挨拶の気持ちを込めたギフトです。
エコに配慮して自分の気持ちを伝えるのが、令和風のお歳暮といえるでしょう。
お歳暮の水引は紅白の蝶結び
お歳暮の時期は、地域によって若干の違いがありますが、12月13日~12月20日の期間内で贈るのが一般的とされています。
お正月の準備が本格的になるのは25日過ぎですが、まずとりかかる「すす払い」の日は12月13日です。
ゆえに、お正月の準備を始めてから忙しくなるまでの間に、お歳暮が届くように手配するのが良いでしょう。
お歳暮は、一年間お世話になったお礼と「来年もよろしくお願いします」という挨拶の意味を込めて贈るものです。
その起源は古く、江戸時代にはすでに武士や商人の間で現代と同じようなお歳暮を贈り合うという風習があったといわれています。
熨斗(のし)の付け方は?内のし・外のしの選び方
熨斗の付け方には、内のし・外のしがあります。
内のしは、のしをつけた品物の上から包装紙で包む方式です。
外のしは、品物を包装して、その上からのしをかける方式です。
内のしは郵送する際に選ばれることが多く、のしが破れたり水に濡れたりしないようにという配慮の気持ちが込められています。また、控えめに気持ちをあらわしたい時に使われます。
外のしは、直接手渡しでお歳暮を渡す時や、お祝いの気持ちを強くあらわしたい時に使います。
しかし、地域ごとに慣習が異なる可能性もあるため、「絶対に失礼のないように贈りたい」という時は、周囲の方やお店に確認してから選ぶと安心です。
また、選べる場合は簡易包装を選ぶと、環境に配慮した贈り物として喜ばれます。
お歳暮の熨斗(のし)の書き方
お歳暮に熨斗(のし)を付ける時は、表書きと、名入れの二つについて一般的な書き方を知っておくと安心です。
熨斗(のし)紙の表書き
表書きは、マーカーを使って書く人も増えていますが、本来であれば毛筆、筆ペンを使って書くのが正しいマナーです。可能であれば、楷書体で丁寧に書きましょう。
まず、熨斗紙の上段中央、水引の蝶結び部分の上方に「お歳暮」あるいは「御歳暮」と書きます。
水引をはさんで下段には、贈り主の名前を書きます。名前は、文字のサイズを「お歳暮(御歳暮)」よりもやや小さく書くときれいに見えます。
なお、お歳暮は一般的に12月13日〜12月20日頃を目安に贈るのが良いとされています。
そして、これより遅くなってしまった場合も、年内に届けられる際は「お歳暮」の表書きが使えます。
しかし、新年に到着する場合はお歳暮ではなく、「お年賀」あるいは「御年賀」という表書きにするのが一般的です。
何らかの理由で松の内にあたる1月7日よりも後に贈り物をしたい場合や、相手もしくは自分が喪中の場合は「寒中見舞い」あるいは「寒中御伺」という表書きを用います。
熨斗(のし)紙の名入れ
個人でお歳暮を贈る場合は、熨斗紙に氏名をフルネームで書きましょう。
例外として、目下の人に贈る場合は名字のみでも良いとされていますが、フルネームの方が丁寧な印象になります。
書く時は、「お歳暮(御歳暮)」という表書きよりも、若干小さな文字サイズにすると美しくまとまります。
できればマーカーペンではなく、筆ペンを使いましょう。
家族でお歳暮を贈る場合
夫婦など、家族の連名でお歳暮を贈る場合は、中央下部に並べて氏名を書きます。
右から順に、目上の人から氏名を書いていきますが、連名で書けるのは計3名までです。
夫婦の場合は二人なので連名で書いて問題ありませんが、夫婦と成人している子ども複数人など、4名以上で贈る時は、代表者の氏名のみをフルネームで書きます。
連名でお歳暮を贈る場合
連名でお歳暮を贈る場合は、家族でお歳暮を贈る時と同様、中央下部に並べて氏名を書きます。右から順に、目上の人から書きます。 4名以上でお歳暮を贈る時は、代表者のみ氏名を書き、代表者氏名の左下に「他一同」と書き添えます。代表者以外の人の氏名は、中包みに書きます。 こちらも、できればマーカーペンではなく筆ペンを使うと、丁寧な印象になります。
法人でお歳暮を贈る場合
法人でお歳暮を贈る場合は、中央下部に代表者名をフルネームで書きます。
会社名は添えなくても構いませんが、添えたい場合は氏名の右上に書きます。文字サイズは、氏名の3分の2〜半分ほどの大きさをイメージするときれいにおさまります。
会社名は、長くても略さず正式名称を書くようにしましょう。
手書きする場合は、マーカーペンではなく筆ペン、毛筆を用います。
お歳暮の熨斗(のし)注意点
自分や送り先の相手が喪中の場合
お歳暮は、お礼と挨拶の贈り物なので、喪中に贈っても失礼にはなりません。しかし、熨斗と水引にはおめでたい意味が込められているので熨斗紙は使いません。
短冊か、白無地の奉書紙を使います。
もし忌中の場合は、お歳暮ではなく香典の意味が強くなってしまうので、時期をずらします。四十九日明けが年内ではなく年明けになる場合は、「寒中見舞い」として贈ります。
一度限りで贈りたい場合
本来、お歳暮は毎年贈るものです。そのため、一度限りのお歳暮はマナー違反となります。
しかし、「今回だけ、今年だけ贈りたい」というケースもあるでしょう。
その場合は、表書きをお歳暮ではなく「御礼」とすれば問題ありません。
氏名の書き方はお歳暮の場合と同様です。
毎年はお歳暮、今年だけなら御礼、と覚えておくと安心です。
海産物を贈る場合
海産物を贈る時は、水引だけの掛け紙を選びます。
これは、熨斗が元はお祝いの時に用いる「のしアワビ」あるいはその代用品だったことに起因しています。
また、海産物だけでなく肉・卵を贈る時にも、熨斗を使わないケースがあります。
熨斗をつけるべきか水引のみにすべきか、迷った時は相手の地域の慣習を知る人か、お店に相談してみましょう。
お歳暮に添える挨拶文・添え状の文章例
お歳暮は、ただ品物を贈るだけよりも挨拶文や添え状をつけることで、より日頃の感謝をしっかりあらわすことができます。
こちらにいくつか文例を用意したので、参考にしながら感謝の気持ちや、健康への気遣いをあらわす添え状をぜひ書いてみてください。
友人や親戚など近しい人への挨拶文文例
年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。
いつもお世話になりっぱなしで、今年も一年ありがとうございました。
そして来年もよろしくお願いします。
一年のお礼を込めて、ささやかですがお歳暮を贈りました。
これから寒さが厳しくなるので、お互い体調管理に気をつけて過ごしましょう。
上司や先生など目上の方への挨拶文文例
拝啓
今年もあたたかいご指導をいただき、誠にありがとうございます。
日頃の感謝を込めて、お歳暮の品をお贈りいたしました。
ご笑納いただければ幸いです。
年の瀬も迫り、ご多忙と存じますが、なにとぞご自愛ください。
来年もよろしくお願い申し上げます。
敬具
取引先などへの挨拶文文例
謹啓
師走の候、いかがお過ごしでしょうか。
平素は格別のご高配を賜り、御礼申し上げます。
日頃の感謝、年末のご挨拶として、お歳暮の品をお贈りいたしました。
お納めいただければ幸いです。
今後ともお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
謹白
お歳暮の熨斗(のし)・水引(みずひき)の起源
熨斗は、アワビの身を薄くそいでから干した「のしアワビ」が起源とされています。のしアワビは、古来より祝儀の際の肴として用いられてきました。「日本書紀」にも、のしアワビを朝廷へ献上したという記録が残されています。
のして伸ばすという作り方が「永続」を意味するため、用いられるようになったという説もあり、中国では長寿の薬とされてきました。
なお、海産物をお歳暮として贈る時には、アワビを意味する熨斗は使いません。水引だけの掛け紙を使います。
水引は、飾り紐の一種で、用いる色と結び方によって異なる意味が込められています。
お歳暮の場合は、何度あっても嬉しいことなので、蝶結びで結びます。
水引の本数は奇数で、5本、7本、9本のいずれかで作られています。
これは、割り切れない数で縁起を担ぐという意味があるようです。
例外は婚礼のご祝儀に使う水引で、5本組を2つ使い、合わせて10本で水引を作ります。
10本の水引には、見た目の華やかさ以外に「充分に満ち足りている」という状態をあらわす意味があります。
水引は長く本数が多いほど立派とされていますが、お歳暮で一般的に使われるのは、5本ないし7本の水引です。
なお現代では、熨斗と水引が印刷された紙自体を「熨斗」と表現することがあります。
まとめ
熨斗は、プリントされたものが一般的ですが、熨斗と水引にはそれぞれ意味があり、一つ一つが相手への敬いの気持ちをあらわすものです。
正しい書き方を知っておけば、より感謝の気持ちをあらわすことができるでしょう。
更新日:
2024年10月18日