「ワインがよくわからない理由」を掘り下げていくとみなさん口を揃えるのがこの悩み。
なにかの賞を受賞していたから飲んでみたけれど、おいしいようなそうでもないような・・
なんてこと、ありませんか?
まず、大前提。人の味覚は十人十色です。ガブガブ飲める1,000円のワインが好きな人もいれば、1本10万円のワインにうっとりする人もいる。ボージョレー・ヌーボーのようにフレッシュなワインが好きな人もいれば、長い年月をかけて熟成させたワインが好きな人もいる。これは個人の好みの話で、どちらが上等な舌を持っているといった上下関係があるわけでもありません。
ただし傾向としては、ワイン慣れすればするほど、そして年齢を重ねるほど、いろいろな味を含む複雑なワインを好きになっていくと言えます。味覚はだんだんと変化していくのです。
とくに「渋味」や「苦味」、そして「酸味」は、大人になるにつれだんだんと好きになっていくものです。子どものころを思い出してください。渋いお茶や苦いレバー、酢の物が嫌いではありませんでしたか?これは本能的に理由があって、渋味や苦味は「毒の味」で酸味は「腐ったものの味」だからなんですね。身体が本能的に受け付けないわけです。ただし、人間は「毒の味」や「腐ったものの味」を食べ続けることで、だんだんと舌がマヒしていきます。その結果、味として認識できるようになる。「毒ではない」を経て、最終的には「おいしい」と認識できるようになっちゃうわけです。
つまり、初心者がフレッシュでジューシーな大味のワインをおいしいと感じ、ワインに親しんだ上級者ほど渋味や苦みを含んだ複雑な味を好きになっていくのは、自然なことなんですね。年齢を重ねたり舌がマヒしていくほど、複雑未や熟成を楽しめるようになる・・というとちょっと切ないけれど、だからこそワインは大人の楽しみと言えるのかもしれません。