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相手が喪中であっても、自分が喪中であっても、お中元を贈るのはマナー違反ではありません。ですが、配慮すべき事柄やおさえておくべきマナーはあります。喪中の際のお中元のやり取りについて、さまざまなパターンをまとめました。
喪中のときはお中元を贈る?
結論として、自分が喪中の場合も相手が喪中の場合も、お中元を贈るのは問題ありません。しかし、却って相手に気を遣わせてしまうケースもあるので、相手のことを第一に考えて行動することが大切です。喪中の期間や範囲について知っておけば、時期をずらすなどの配慮も可能になります。
自分が喪中の場合
自分が喪中の場合も、相手にお中元を贈ることは問題ありません。とはいえ、「死は穢れ」としてとらえる方もいるので、喪中の人からお中元をもらうことを「縁起が良くない」と考えてしまう方もいます。また、「辛いところに無理をさせてしまった」と相手に気を遣わせてしまう場合もあるので、喪中の期間を過ぎてから暑中見舞いや残暑見舞いなど別の形でギフトを贈るのも気遣いのひとつと言えます。
自分の気持ちが沈んでいて辛い場合は、無理してお中元の手配をする必要はありません。暑中見舞いなど、別の形で日頃の感謝をあらわすのが良いのではないでしょうか。
相手が喪中の場合
お中元は、お祝いごとではないので相手が喪中であっても、贈るのは問題ありません。日頃の感謝やお悔やみの気持ちを込めて、相手の体調を気遣う意味でお中元を贈るのも良いでしょう。とはいえ、故人を失った悲しみがまだ癒えない状況では、素直にお中元を喜べないという方もいらっしゃいます。お中元が不要な刺激になってしまうかもしれないという場合は、お悔やみの言葉を送ったり、お中元を届けても良いか事前にたずねたりするのが良いかもしれません。お中元が相手の負担になってしまわないよう、相手の心情や状況を考えて配慮しましょう。
喪中の期間・範囲
お中元を贈る前に、そもそも喪中の期間はどれくらいなのかを知っておくのは良いことです。また、親族のどの範囲が亡くなった場合に喪中となるのかをあらかじめ調べておくことで、お中元を適切なタイミングで贈ることができるはずです。悲しみの気持ちが癒えるまでの時間はそれぞれですが、一般的に取り決められている喪中とは次のように定義されます。
喪中の期間について
喪中の期間は、故人との間柄によって変わってきます。一般的には、自分の父母、義父母、子どもを亡くした場合、亡くなってから約13ヶ月程度が喪中の期間とされています。祖父母や兄妹・姉妹が亡くなった場合の喪中の期間は6ヶ月程です。
しかし、これはあくまで一般的な喪中の期間であり、遺族の意向によって喪中の期間は変わってくると考えられます。
喪中の範囲について
喪に服す期間、すなわち喪中は、二親等以内の親族が亡くなった時とされています。二親等以内とは両親、兄妹・姉妹、祖父母、孫が該当します。
ただし、三親等以下の親族が亡くなった場合は喪に服してはいけないという決まりはありません。故人と深い絆があった場合は、二親等以外でも喪に服す期間である喪中を設けることがあります。
喪中の相手にお中元を贈るときのマナー
喪中の相手にお中元を贈る時は、忌中を避ける、故人宛に贈らない、熨斗や水引は用いずに白無地の表書きを使用するという3つのマナーに気をつけましょう。喪中であっても慌てずに対処するためのお中元マナーを、順に解説します。
マナー:忌中の時期を避けて贈る
忌中とは、故人が亡くなった日から四十九日が明けるまでの期間のことです。これは仏式の考え方で、神式の場合は亡くなった日から五十日祭を迎えるまでの期間を期中ととらえます。
忌中の間は、故人を亡くした悲しみがとても深く、法事や手続きなどで遺族が忙しくしています。こうした期間にお中元を贈ると、香典と勘違いされてしまうこともあり、こちらの都合で贈り物をするのはふさわしくありません。忌中の時期が明けるのを待たずに贈るのは、マナー違反になるので避けましょう。
忌中とお中元を贈る時期が重なっている場合は、時期をずらして暑中見舞いや残暑見舞いとして贈るのが適切です。遺族の悲しみを思い、日頃の感謝を伝えるのは少し待つのが大人のマナーと言えます。
故人宛はタブー
もしも故人とだけおつきあいを続けていた場合であっても、故人宛にお中元を贈るのは失礼にあたります。寂しいことですが、亡くなった段階で故人とのご縁は一度切れると考えて、お中元を贈らないのも配慮のひとつです。亡くなった年からお中元を贈らなくても、特段失礼にはあたりません。
もしも家族ぐるみでおつきあいがあり、今後もお中元を贈るおつきあいを続けたい場合は、遺族の名前を宛先にして贈りましょう。
また、遺族に贈る場合は紅白などおめでたい雰囲気の品物は避けて、お祝いを連想させないような贈り物を選ぶのが得策です。挨拶状を添える際にもおめでたい表現は避けて、故人を失った遺族の悲しみに寄り添えるような文章を心がけるのがマナーです。
熨斗と水引は使わず白無地
熨斗と紅白花結びの水引は、お祝いごとやおめでたいことを連想させるため、喪中の相手へ贈る時には用いないようにするのがマナーです。白無地や白い短冊に「お中元」または「御中元」と書いた表書きを使って、お中元を贈ります。暑中見舞いや残暑見舞いとして贈り物をする時も同様です。
添え状も、紅白や華やかなデザインは避けて、遺族の心にそっと寄り添うようなあたたかいメッセージを書くのがマナーです。喪中にお中元を贈ること自体はマナー違反ではありませんが、相手は悲しみの中にあるということを忘れずに、配慮した贈り物選びが求められます。品物を選ぶ場合も、忙しかったりぐったりしていたりしても処理に困らないよう、日持ちのするものやサッと使える日用品をセレクトすると良いでしょう。
自分が喪中のときにお中元をいただいた際の対応
自分が喪中の時にお中元をいただくケースは、次の3つのパターンが考えられます。
1. 葬儀に参列した人からお中元をいただく
2. 故人が亡くなったことを知っている人からお中元をいただく
3. 故人が亡くなったことを知らない人から故人宛にお中元をいただく
「1. 葬儀に参列した人からお中元をいただく」の場合は、お中元をいただいたお礼と共に、葬儀の際にお世話になったことへのお礼を伝えます。気心の知れた方へのお礼は電話やメールで構いませんが、目上の方などへのお礼状をしたためると良いでしょう。
「2. 故人が亡くなったことを知っている人からお中元をいただく」の場合も、すみやかにお礼を伝えましょう。なお、葬儀に参列しなかった方に対しては、葬儀に関することを記す必要はありません。
「3. 故人が亡くなったことを知らない人から故人宛にお中元をいただく」の場合は、お礼状と同額程度のお中元をお返しするようにしましょう。お礼状には、故人が亡くなったこと、訃報が行き届かなかったお詫びを入れるようにします。また、故人が亡くなったことを知った上で故人宛にお中元をいただいた際も、故人に代わってお礼を述べて、相手に感謝している気持ちを伝えるようにしましょう。
いずれのケースも、お礼はお中元が届いてからなるべく早くするのがマナーです。メールや電話の場合は届いたらなるべくすぐに、挨拶状を贈る場合は、3日〜1週間以内に相手へ届くように準備します。
まとめ
お中元は毎年の習慣として贈っている人も多く、相手や自分が喪中だとどのようにしたら良いのかと迷ってしまうケースも多いでしょう。しかし、喪中の時期と範囲、お中元を授受する際のマナーを知っておけば、突然のことでも、あわてることなく対応できるはずです。マナーを覚える一番の近道は、相手の気持ちを考えることです。相手がどのような気持ちでいるのかを想像することで、おのずととるべき行動が見えてくるのではないでしょうか。
更新日: 2024年2月1日